映画「デビルマン」について

「デビルマン」はご存知ですね!

「デビルマン」というアニメをご存知でしょうか。1972年に放送されたアニメなのですが、今では考えられないほどの残酷描写やセンセーショナルなストーリー展開で多くの子供たちにトラウマを植え付けたアニメです。同時進行で書かれた漫画「デビルマン」もあるのですが、こちらは更に残酷で救いのないストーリーとなっており、これが少年誌で連載されていたなんて今では信じられないほどです。反面、そのような新時代を気付いた漫画・アニメであることから、40年以上が経った今でも熱烈なファンが多いのも事実です。日本国内だけでなく海外からも支持を得ており、後世に語り継がれるべき名作と言われています。そんな「デビルマン」が2004年、製作費10億円を掛けて実写映画化されました。アニメ版ではなく漫画版を原作としていること、VFXのクオリティーを上げるために公開日を遅らせるほどのこだわりように、世界中のデビルマンファンが大きな期待を以て待ち望んでいた本作ですが、その評価は「今世紀最大の駄作」「キングオブ糞映画」と散々です。酷評に次ぐ酷評が話題を呼び、「逆にお金を出して観るべき」などという意見も出てきたほどです。そこまで言われるとどれだけ酷いのか気になりませんか(笑)?というわけで、私も類に漏れず、映画「デビルマン」を鑑賞して観ました!

映画「デビルマン」とは

映画「デビルマン」は、2004年10月9日に公開した東映系特撮映画です。永井豪の漫画「デビルマン」を実写化した映画です。レーティングはPG-12指定でした。「原作漫画の完全実写映画化」というキャッチフレーズのもと、製作費10億円をつぎ込み、VFXをふんだんに用いて製作されました。当初、公開は2004年5月頃を予定していたのですが、「驚異の映像をふんだんに駆使し、満足のいくクオリティーに仕上げる事」を確約するため10月に延期となりました。特撮映画・テレビを手掛ける東映と、アニメを手掛ける東映アニメーションがタッグを組んで特撮シーンが製作され、それを「T-Visual」と名付けて売り出しました。先にアニメによる作画を行い、それに従ってCGに動きをつけたり、CGカットの中に一瞬だけ手描きの絵が挿入されたりと、「アニメと実写の融合」という新しい表現を試みています。

ストーリー(ネタバレ)

数年前に事故で両親を亡くした高校生の不動明は、クラスメイトで幼馴染の美樹の家・牧村家に引き取られて暮らしていました。ある日、明の親友である了の父・飛鳥博士が研究中の邪悪な生命体“デーモン”が誤って覚醒していまい、明と了はデーモンに体を乗っ取られてしまいます。しかし、心も完全に支配された了とは違い、明は人間の心を残した「デビルマン」となっていました。明はそれを運命として受け入れ、次々と蘇り人間を滅ぼそうと画策するデーモン族との孤独な戦いを決意します。そんな明の決意など知らない人間たちは、人間社会に入り込んで増殖を続けるデーモン族を恐れ、疑わしい人間や明と同じようにデーモンと同化した人間を排除しようとデーモン狩りを決行します。疑心暗鬼になった人間たちは、少しでも怪しい人間がいれば処刑するようになり、やがてそれは国家間の戦争にまで発展してしまいます。デーモン族が画策したとおり自ら破滅の道を歩む人間たち。そんな中、明と同じくデーモンに体を乗っ取られながらも人間の心を失わなかった美樹の友人・ミーコと、彼女がデーモン化した両親から救い出した少年・ススムは美樹の元を訪れます。デーモン狩りをする人間たちに負われ、満身創痍となったミーコを美樹は放っておけません。美樹と両親は、ミーコとススムを牧村家で匿うことにしました。しかしこれが災いし、牧村家もデーモンなのではないかと疑われて彼らは皆殺しにされてしまいます。最愛の人達を失った明は、怒りと悲しみに苛まれ、デーモン族を潰滅すべくデーモン族を統治するサタンとの戦いに挑もうと決意します。しかし、そのサタンの正体は実は了だったのです。親友にまで裏切られた悲しみに、心震わせる明。了=サタンと明=デビルマンは壮絶な戦いの末、共に倒れるのでした。戦いの一夜が明け、崩壊した世界の一角には、生き延びたミーコとススムが立っていました。二人は新たに平和な世界を創造しようと心に誓うのでした・・・。

キャスト

  • 不動明/デビルマン・・・伊﨑央登
  • 飛鳥了/サタン・・・伊﨑右典
  • 牧村美樹・・・酒井彩名
  • 牧村啓介・・・宇崎竜童
  • 牧村恵美・・・阿木耀子
  • 飛鳥教授・・・本田博太郎
  • シレーヌ・・・冨永愛
  • 川本巳依子(ミーコ)・・・渋谷飛鳥
  • ススム・・・染谷将太
  • ニュースキャスター モリソン・・・ボブ・サップ
  • 牛久雅夫・・・仁科克基
  • 重森隆夫・・・大沢樹生
  • 青山・・・金山一彦
  • 上田・・・きたろう
  • 佃・・・鳥肌実
  • 沼田・・・今井雅之
  • 長田・・・後藤光利
  • ジンメン・・・船木誠勝
  • 六平・・・田中鈴之助
  • 洋二・・・川久保拓司
  • ミノル・・・中山貴将
  • 沙織・・・仲程仁美
  • 由香・・・石川佳奈
  • 美穂・・・森本ゆうこ
  • ススムの父・・・小倉一郎
  • ススムの母・・・洞口依子
  • 佃の同僚・・・モロ師岡、有福正志
  • 中学校の先生・・・布川敏和
  • アジトのデーモン・・・KONISHIKI
  • 隣家の中年女・・・小林幸子
  • 神父・・・永井豪
  • 銃を受け取る車椅子の男・・・的場浩司
  • 地下鉄の乗客・・・島田久作

スタッフ

  • 監督・・・那須博之
  • 脚本・・・那須真知子
  • 原作・・・永井豪
  • 製作総指揮・・・泊懋
  • 企画・・・遠藤茂行、森下孝三
  • プロデューサー・・・冨永理生子、松井俊之、北﨑広実
  • 特撮監督・VFXプロデューサー・・・佛田洋
  • デビルマンコンセプトデザイン・・・寺田克也
  • キャラクターデザイン・・・衣谷遊
  • CGプロデューサー・・・氷見武士
  • CGスーパーバイザー・・・野口光一
  • 製作プロデューサー・・・生田篤
  • キャスティングプロデューサー・・・福岡康裕
  • 特殊撮影・VFXコーディネーター・・・高橋政千
  • アクションコーディネーター・・・野口彰宏
  • 衣装・・・森口誠治、鶴岡英門
  • 音楽・・・安川午朗
  • 主題歌・・・hiro「光の中で」

映画に対する評価

本作が公開された2004年には、他にも「CASSHERN」や「キューティハニー」、「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE」と、往年の人気漫画やTVアニメをVFXを用いて実写化した映画が公開されました。それらの評価はまちまちでしたが、「デビルマン」に至っては前述した通り特別に評価が低く、多くの酷評が寄せられています。映画評論家の前田有一は本作を「シレーヌのポスターだけはいい映画」として100点満点中2点と評価しています。また、作家の山本弘は自身の公式ホームページで冗談めかしながらも、「娯楽映画を作る際に何をしたらいけないかがよく分かるから、これから映画を作ろうという人間に(反面教師の意味で)観せるべき」「もっと声をあげて本映画界に反省をうながすべき」と述べています。サブカルチャー文化について幅広い知識を持つコラムニスト・唐沢俊一は、この映画を事故に例え「野次馬気分で観に行く映画」と指摘しました。第14回東京スポーツ映画大賞特別作品賞において、審査委員長の北野武は「映画『デビルマン」は『みんな~やってるか!』『シベリア超特急』『北京原人 Who are you?』に続く映画史に残る四大おバカ映画。酔っぱらって見たらこれ以上のものはない」と述べました。その他にも各新聞や各種映画サイトのレビューには酷評が寄せられ、最低映画を決定する「文春きいちご賞」の2004年度で1位を獲得しました。結局製作費10億円に対して興行収入は5億円に終わり、興行的にも大失敗となりました。

受賞

  • 2004年度文春きいちご賞・・・文藝春秋の記者と映画評論家がその年度最低の映画を選出しランキングする賞。ネーミングはアメリカのゴールデンラズベリー賞に因んでいる。「デビルマン」は1位を獲得。
  • 第1回蛇いちご賞・・・スポーツ報知の映画担当記者がその年度最低の映画及び俳優を選ぶ賞。きいちご賞と同じくアメリカのゴールデンラズベリー賞のパロディ的な賞である。「デビルマン」は全4部門の内、作品賞、男優賞(伊崎央登、伊崎右典)、監督賞(那須博之)の3部門を制覇した。
  • 第14回東京スポーツ映画大賞・・・東京スポーツの客員編集長でもあるビートたけしが審査委員長となり発足した映画賞。数多くの映画賞でみられる作品賞や主演男優賞の他に「許しがたい作品賞」や「無念賞」などがある。「デビルマン」は上記の理由で特別賞を受賞。

感想

私はデビルマン世代ではないのですが、好きな俳優さんがデビルマンについて熱く語っている姿を見て、全5巻という短さにも惹かれ漫画版を読みました。結果、その衝撃的なストーリーにドン引きしながらも夢中になって読みました。これが週間少年マガジンで連載されていたというのですから驚きです。さて、問題の映画版「デビルマン」ですが、原作漫画ファンとして劇場に足を運ぶべきかどうか大変悩みました。前評判からここまで悪く言われている映画はあまりなかったですし、予告編で観た感じでも「う~ん・・・」と首をひねらねばならない出来上がりだったからです。ただ、公開から何日か経ってどんどん映画サイトに酷評が追加されていく様子を見ていると、逆にこれは見ておいた方がいいんじゃないかな、という気持ちになってきました。ひょっとしたらこれは後世にまで語り継がれる「駄作」になるのではという予感がしたからです。中でも私の足を映画館へと向かせたのは2004年11月号の「映画秘宝」の「責任者不在のまま世に生み出された珍作を「ダメなら観に行かない。まったく今の日本映画はこれだからダメなんだ!」と思うなら、それは間違いだ。この惨劇のような映画を身銭切って観にいって、初めて激怒する権利を得ることができるのだから」という紹介文でした。ここまで言われる映画って中々ないですよね。熱烈な原作ファンが多い作品だからこその言われようなのかもしれませんが、ここまで酷い酷いと言われると好奇心が湧いてきます。そして私も1800円払って劇場でこの作品を鑑賞しました。事前にレビューなどを読んでから行ったので、耐性が出来ていると思っていたのですが、私の予想をはるかに超える結果が待っていました。これでは10億円をどぶに捨てるのと同じようなものです。もう特撮映画としてではなく、シュールなギャグ映画を見ているような気分でした。全5巻の漫画を2時間に収めようとした努力は見て取れたのですが、原作への愛も感じないし、製作費の使いどころもよく分からない、ストーリーがめちゃくちゃ、主役が大根、公開日を遅らせてまでこだわった「驚異の映像」がダサいなどなど、ツッコミどころは沢山ありました。これはデビルマンのファンではない普通の人が観ても「えええ!?」ってなると思います。なんというか、大学の映画製作サークルだってもうちょっとまともな物をつくるのでは?と思う演出の数々で大変残念な気持ちになりました。具体的に残念だった箇所は次のページで詳しく書きますが、これは確かに酷評レビューを書きたくもなるなあという内容でした。一周回って面白いという表現がこれほどまでにしっくりくる映画も他にないのではないでしょうか。ツッコミどころ満載で、北野武がいうようにお酒を飲みながら仲間とワイワイ言いつつ観るのには中々楽しい映画だと思います。

映画「デビルマン」について

永井豪の名作!「デビルマン」!